1.地域金融機関における会計実務
金融機関は、各業態に応じて銀行法、信用金庫法、労働金庫法、協同組合による金融事業に関する法律などの各法律が定められており、会計実務もこれらの法律が定める規則に従って運用されています。そして、銀行であれば会社計算規則第118条に定められる別記事業を営む会社の計算関係書類についての特例により、銀行法及び銀行法施行規則の定めに従った用語、様式及び作成方法を適用して会社法の計算書類を作成することができるとされています。
貸倒引当金を中心として、特に会計上の見積りと呼ばれる項目については、規制当局における行政的な指導の影響を強く受けて、会計基準で定められている実務と異なる特有の方法で実務が実施されており、それらの判断が経営成績や財務内容に与えるインパクト、ひいては金融機関の信用力に与える影響も非常に大きいことから、各業態の規模や特性に応じ適切な管理体制を構築し、業務を実施することが必要となります。
2.地域金融機関における規制対応
金融機関は、各法律に基づく免許を受けて営業を行うことが許されている存在であるため、財務の健全性や法令の遵守体制、リスク管理体制の構築などの充実強化が求められます。特に自己資本比率規制は、国際的な信用秩序の維持の取組みの中で、我が国の金融機関の達成すべきルールとして求められるものであり、会計記録とそれに基づく財務諸表の適切性が極めて重要な基礎となるものです。
サブプライム問題やリーマンショックを受けて、国際金融システムのリスク耐性を向上されることを目的として、国際的な金融規制の策定を担う金融安定理事会やバーゼル銀行監督委員会により検討されてきたバーゼルⅢは、順次規制の強化として我が国金融機関にも適用が開始されています。特に重要な影響を及ぼすリスクアセットの計測手法の見直しを伴う最終化の実施時期は、新型コロナウィルス感染症の影響により、国内基準行は2024年まで延期となる見通しですが、経営管理及び自己資本管理の観点から、適切にこれに備えた対応を図る必要があります。
3.当事務所の提供可能業務
2019年の金融検査マニュアルの廃止を受けて、各金融機関は自らの責任で業務運営体制の維持向上を果たすことが必要となっています。特に 会計的に大きな影響を及ぼす 資産査定管理態勢に関しては、各金融機関の主体的な取り組みが尊重されるようになりました。
これに伴い、各金融機関は、信用リスク管理態勢の枠組みの中で、どのような顧客にどのような信用リスクを取るかについて資産査定の判定の仕方を含む見直しを検討するとともに、それに応じたプライシングはどのようにあるべきか、対応する信用コストの会計上の認識をどのように行うかをリエンジニアリングすることが、業務の高度化や地域金融の仲介機能のさらなる向上のために不可欠なものとなってきております。当事務所では、特に会計的な側面から、地域金融機関の果たすべき機能向上のための情報提供を行うことが可能です。