1.投資事業有限責任組合とは

中小企業庁が2021年4月に公表した投資事業有限責任組合は、投資事業組合の一種であり、「投資事業有限責任組合契約に関する法律」(以下、有責組合法)に基づいて設立される組合を言います。同法は、我が国におけるベンチャーキャピタルファンドの根拠法として、前身の法律である「中小企業等投資事業有限責任組合に関する法律」が1998年に施行されて以降、長きにわたりスタートアップ企業に対するエクイティ資金の供給に寄与してきました。

会計実務については、有責組合法第8条第1項において、毎事業年度に貸借対照表、損益計算書及び業務報告書並びにこれらの附属明細書を作成することが求められており、経済産業省が公示している「中小企業等投資事業有限責任組合会計規則」に基づき記載が行われています。

これらの書類に関しては、有責組合法第8条第2項に従い、公認会計士又は監査法人の監査を受け意見書(業務報告書及びその附属明細書については、会計に関する部分に限る)を備え置かなければならないとされています。このため、日本公認会計士協会は、投資事業有限責任組合に関わる会計及び監査、並びに組合員に係る実務上の指針として、「投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱い」を公表しており、これに基づいた監査が実施されています。

投資事業有限責任組合は、「中小企業等投資事業有限責任組合会計規則」 に従った未公開株式を含めた時価評価などの会計処理を行っており、会計監査人が監査を実施しています。一方で、各組合員の財務諸表への投資成果の取り込みは、我が国において一般に公正妥当として認められた会計基準である「金融商品に関する会計基準」に従った評価を行うことが原則であるという立場の違いから、複雑な実務的な慣行を有しており、このことを十分に考慮した運営が必要となります。

2.当事務所の提供可能業務

当事務所では、投資事業有限責任組合の会計相談業務のほか、決算書類の作成、内部管理体制に関する高度化の支援、投資家向け報告書の作成代行業務などの多様な業務をお引き受けすることができます。
また、投資事業有限責任組合に限らず、幅広い形態のファンド会計に関しての会計業務支援が可能です。